早稲田中世の会

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2016年度春の例会のお知らせ

 2016年度春の例会のお知らせをいたします。ご多忙中とは存じますが、ぜひともご参会頂きたくお願い申し上げます。

 

一、日時   二〇一七年三月二十二日(水) 十四時から

一、会場   早稲田大学戸山キャンパス 三十九号館五階 第五会議室

一、研究発表

 

(一)『承久記』に関する一考察

                         文学研究科  篠崎惇子氏

 

(二)仮名本『曽我物語』における泰山府君説話

                         文学研究科  芳賀理知氏

 

(三)早大本『秋風抄』の位置

                         教育学研究科  標彩実氏

 『秋風抄』はその序文によれば建長二(一二五〇)年四月十八日に小野春雄なる人物により成ったとされる私撰集である。真観(葉室光俊)撰『秋風和歌集』の約六割が本抄と重なることなどから小野春雄は真観の偽名であると考えるのが有力な説となっている。春夏秋冬恋雑の部立を有し、現存三二一首。

 伝本については、現在『新編国歌大観』の底本となっている群書類従本の他に、内閣文庫蔵本・お茶の水図書館成簣堂文庫蔵本・ノートルダム清心女子大学蔵黒川本・国立国会図書館蔵本・篠山市青山会文庫蔵本の存在が指摘される。

 本発表では、ここに早稲田大学蔵本『秋風抄』(以下早大本)を位置づけたいと考えている。今回、早大本の書誌調査を行い、内閣文庫本の錯簡の問題と関わりがあることが想定できた。諸本間の異同に着目することで、さらにその位置づけを明確にしていきたい。

 

(四)流布本『平忠盛集』考

                          文学研究科  穴井潤氏

 平氏隆盛の礎を築いた忠盛は、『久安百首』を詠進した歌人としても知られる。家集『平忠盛集』は、流布本系と異本系が存するが、本発表では流布本を扱い(以下、本集と呼ぶ)、その構成・配列・詞書・収載歌を検討しつつ、テクストとしてどのように読めるのかを考察する。

 本集は部類され、巻頭には崇徳院、巻軸には白河院に関わる和歌が配される。詞書中に見える人物は、白河・崇徳両院に関わる者ばかりで、忠盛が寵を受けた鳥羽院は、まったく登場しない。収載歌には、重要な国への旅の途次に詠まれたものが目につく。

 看取される特徴を踏まえながら、本集を読み通す時、忠盛が白河・崇徳両院の寵を受け、大国の国主を任じられながら、両院の近臣と交流していく様が想起されていくことになる。そのことから、本集が表現しようと企図したものは何か、論ずることにしたい。

 

 

 また、研究発表会の後、懇親会を予定しております。こちらも是非ご参加下さるようお願い申し上げます。

 

会場  かわうち

 

時間  十七時三十分(予定)から

 

会費  三〇〇〇円